事務所通信
No.173 20.10.30
―財産は相対的?―
世界恐慌突入か?株価の下落で年金資産20兆円超が吹っ飛ぶ!不動産投資信託会社ニューシティ・レジデンスの倒産、高リスク商品中心の大和生命の破綻……経済情勢は混迷の度を深めています。こうなると「事業経営が上手く続けられるか」あるいは「虎の子の財産をいかに減らさないで増やせるか」など心配の種は尽きません。
また、事業経営することの使命として、世の中の資産(別名、財産)を上手に運用して、豊かで幸せに満ちた社会を創ることがあります。「財産なんかない。毎日の資金繰りに汲々いるわが社が、なんで財産なの?」と思うかもしれませんが、良い仕事をし、良い結果を出していると、必ず財産が回ってきます。それだけに関係ないといわずに財産についてのセンスを磨いてください。
ところで先行き不安、あれこれ心配、それらは人間の証拠です。高度の知識があって、いろいろ考えられるからです。でも知識と思考を実行に移せれば、むしろ強みになります。そうはいっても、毎日のように株価が乱高下し、経済不安が報道されれば、心配するのは当然です。でも、勉強と情報収集で「これは」と思える人の考えを自分の師とすれば良いのです。そのために書物を読み、情報を集め、話を聞き、自分の思いを確信にまで高めれば良いのです。そのとき、自分の未来とそこに繋がる道が見え積極果敢な行動になります。多くの人が右往左往する中、自分は確実な成果を上げていけば良いのです。
さて財産ですが、事業の上での財産(資産)は生産や販売などの経済的行為によって作られます。その経済的行為は数値化して初めて把握できます。ものごとを数値化するという行為は「AをB円とする」というように相対化そのものなのです。すなわち財産(資産)をいかに大事な価値あるものとしても「絶対的なもの」ではなく「相対的なもの」でしかありえません。所詮、その多寡や優劣は人間の勝手な思い込みに過ぎず、自分が思うほど確実なものではありません。財産の価値は相対的なものに過ぎないのに、何で株価が8千円を切ったと大騒ぎになるの?それは財産がいろいろあって、上がるもの、下がるもの、と選択によって儲かったり、損したりするからです。どの財産も同じように動くならば何も気にしなくて良いのですが、自分の選択次第は限られた情報の中では案外難しいものです。
そこで選択に参考になるように(具体的内容については各自、金融機関等に問い合わせてください)財産の特質をまとめてみます。今の投資市場は歯止めを失っており、かなり内容の不明なものまで許可、大手を振って販売、リスクの高いものも多く、頭文字のCDSやREIT……は意味不明、内容不明、どこに危険があって、どうやって回避できるか……何にも分からないのが事実です。ただ「勧めている人が知り合いだ」とか「銀行との取引のため」とか「大会社のもの」というだけでは危険回避にはならず、堅実な財産運用とは言えません。そもそも財産は相対的のもの絶対はありません。それなのにCDSやREITなどは、いろんな要素を複雑(ある面で巧妙)に組み合わせてリスク分散なんて、危険の本質の隠蔽に過ぎず「最初からボタンの掛け違い」です。物事はシンプルで、分かりやすくが鉄則、やたら複雑、人を混乱させるは、詐欺の常套手段。この辺で銀行や証券会社が勧めた投資信託もかなり複雑な投資資産の一つと思うので確認して下さい。
事業には財産は付いて回わるもの、財産を有効活用する気概さえないようでは自分の事業は環境変化について行けません。財産で一番確実性の高いものは現金預金(預金はペイオフが心配、1千万円超の預金は決済用預金に!)です。事業資金は多いほど資金繰りに惑わされずに済むので、円高の今、月々の支出額の6ヶ月分位の現金預金を確保はお勧めです。世界の通貨で一番強いのは円ですから、下手な運用より事業資金として現金預金にして置くだけでお金の価値は高くなります。いずれ1ドルが50円になれば、少し前の130円時代の円は2.6倍の価値になったことになります。
次に不動産、日本では借入担保は不動産。それだけに自宅用さらに事業所用として不動産は必要で担保としても有効。でも借入で不動産を購入するにはその物件の3割の自己資金は用意が必要です。それ位あればリスクは防げ、ある程度返済ができると事業の資金繰りにも役立ち、個人の財産運用の柱になれます。ただし、これからの少子高齢化の時代、土地の値上がりは期待できません。
少し資金に余裕が持てたら、保険は掛捨てから積立てのものに(一時払いならさらに有利)し、従業員の退職金への準備積立や小規模共済掛金など、節税になるものもお勧めです。さらに余裕が生まれたら株式の購入をお勧めします。毎年1回か2回の配当もありますし、その価格の上下が時代を読む訓練にもなります。成長しそうなもの、淘汰されるもの、判断は難しいものですが、余裕資金(それだけに個人の資金)でやる分には、損のときは売らないで値上がりして自分の思う価格になったら売れば良いのです。
債権は国債や社債などシンプルなものが良く、為替や商品取引はギャンブルそのもの、レバレッジなども危険そのもの、やってはいけません。金(ゴールド)はこれからも上がる可能性は高いですが、買うときは売値、売るときは仕入値、かなり値上がりしないと儲かりません。もちろん利息は付かないし、盗難の危険はあります。でも世界中に通用する価値ある財産は何といっても金、世の中の混乱が極まれば金しかないかもしれません(でもこんな時代になってほしくないですよね)。
TAC 棚橋隆税理士事務所
